褥瘡

褥瘡発生リスクの高い患者には、その臥位姿勢や座位姿勢、移動・移乗時の活動を通し、生活する環境をトータルに見ながら、褥瘡の予防や改善につながるアプローチを検討する必要があると思われます。

ここでは、褥瘡発生のリスクに触れながら、褥瘡予防のための姿勢・活動ケアの実際について紹介します。

圧迫・摩擦・ずれによる褥瘡・創傷

褥瘡とは

「圧迫や、圧迫とずれが合わさった結果、通常は、骨突出部の皮膚や皮下組織に限局して生じた損傷である」
と定義されています。

褥瘡ケアでは、褥瘡発生リスクが高い局所だけではなく、姿勢全体の圧分散を考えることが重要です

回復期リハビリテーション病棟でも臥位姿勢に対する褥瘡予防ケアは必要ですが、ここでは他稿にゆずることとします。
座位姿勢の時の褥瘡予防について紹介します。

外力を軽減・解消する介助方法

外力(摩擦、ずれ)は、移乗や車いす姿勢を修正する時などに発生します。
スライディングシートやトランスファーボードなどを活用し、患者がゆっくりと動ける速さで、皮膚を守るとともに、緊張させないように声掛けをしながら介助をします。

車いす上での褥瘡対策


患者が車いすに座る場合でも、座面に敷くクッションや座り方の違いによって、臀部にかかる圧迫やずれは大きく変化します。
車いすの足台が高い(下腿長より長い)場合、大腿部分の接触面積が少なくなり、坐骨や大転子部付近の圧が高くなります。
患者の下腿長に合わせて足台を調整した場合、大腿部の接触面積が増え、坐骨や大転子部付近の圧が減少します。
座面に敷くクッションも、褥瘡予防効果の高いクッションを使用することで、さらに圧分散がされます。


また、長時間の車いす活動では、褥瘡発生リスクが高くなります。
クッションの利用だけでなく、定期的な圧軽減の対策が必要です。
患者自身に褥瘡予防を獲得してもらうことが必要です。
左右への体重移動や、車いす上で体幹前屈することで、坐骨・臀部の圧迫を軽減します。
これらの方法を患者に説明します。

また、褥瘡好発部位を観察する方法も説明します。
脊椎の損傷などの患者の場合、運動麻痺だけでなく、痛みを感じないので褥瘡の発見が遅れることがあります。
手鏡を使って仙骨部を観察したり、踵を引き寄せて観察するよう説明します。
それを実際にできるのか、どのタイミングでするのか、具体的に確認しておくといいでしょう。