ナースが知っておくべき脱水の指標とは?

こんにちは、皆さん。今日は脱水の指標についてお話ししましょう。脱水は体内の水分不足であり、これを適切に監視することは、看護師として非常に重要な役割です。患者の水分バランスを適切に保つことは、健康を維持し、病状の悪化を防ぐ上で不可欠です。

 

脱水によって体内の水分が減少し血液の濃縮が起こり、腎機能が低下します。そのことによって、次のような数値が上昇することがわかっています。

・赤血球数(RBC
・ヘモグロビン値(Hb)
アルブミン(Alb)
・総たんぱく(TP)
ヘマトクリット(Ht)
尿素窒素(UN)
・尿酸(UA
クレアチニン(Cr)

 

上記の中でも特に重要なのは、ヘマトクリット値です。ヘマトクリット値は、脱水により循環血液量が少なくなると相対的に高くなる傾向にあり、容易に脱水を評価する指標になり得るからです。また、総蛋白やアルブミンなどの血液データよりも容易に短時間で結果が出やすいのも特徴です。

そのため、脱水が疑われる場合に一番注目しておきたい値はヘマトクリットとなります。

しかし、ヘマトクリット値は、貧血や出血などでも変動が大きい血液項目にあたるため、これだけで脱水と判断するには早急となります。

そこで、さらに体液量の減少を確認できる項目として、BUN/Cr比、尿酸、総蛋白、アルブミンなどを見ることが多いです。

これらの項目も体液量減少に伴い、相対的に変動を見せる項目だからです。ただ、これらの値も薬剤の影響や食事量、食事内容、既往の病態などにも変動を受けやすいため、解釈には注意が必要になります。

次に確認しておきたいのは、ナトリウムやカリウム、クロールなどの電解質です。これは輸液の種類を決定するために把握しておく必要があります。

そして、確認として赤血球を見ておく必要があります。水分喪失により血液が濃くなるため、脱水症状が見られるときは赤血球も上昇傾向にあります。

ただ、電解質のようにすぐに是正する必要がなく、脱水が改善されるとおのずと改善されることが多いです。

 

観察項目

 

尿量と色: 尿の量と色は、脱水の初期兆候を示す重要な指標です。薄くて透明な尿は、適切な水分摂取を示しますが、濃い色や少ない尿量は脱水の兆候となります。


口渇: 患者が口渇を感じることは、脱水の一般的な症状の一つです。口渇がある場合、水分摂取が必要です。


皮膚弾力性: 皮膚を軽くつまんで放すと、元の状態に戻る速さが脱水の指標となります。脱水が進行すると、皮膚の弾力性が低下します。


バイタルサイン: 血圧、脈拍などのバイタルサインは、脱水の影響を監視するのに役立ちます。低血圧や高脈拍は脱水の兆候かもしれません。


意識状態: 脱水が進行すると、患者の意識状態が変化することがあります。注意深く患者の意識を監視し、異常があれば早めに対処しましょう。

 


脱水を防ぐためには、適切な水分摂取を奨励し、食事量も十分摂取できているかを観察する必要があります。

環境整備をして患者の手の届くところにお茶等を置いたり、食事を摂取しやすい環境やポジショニングに配慮するとよいでしょう。

 

脱水は軽度から重度までさまざまな症状を引き起こす可能性があり、早期発見と対処が重要です。患者の状態を的確に評価し、適切なケアを提供することで、脱水のリスクを最小限に抑えましょう。