フットケア ~末梢動脈閉そく性疾患~

虚血(末梢動脈閉塞疾患)でのアセスメント

問診:自覚症状
   冷感・しびれ
   疼痛:初期にはみられない
   間歇性跛行
   安静時疼痛:安静時さえも血流が維持できずに起こる
   下肢を挙上すると増強し、下垂すると軽減する
   潰瘍・壊疽:重症の虚血である 潰瘍・壊疽の疼痛は非常に強い
  

Fontaine分類…
Ⅰ度(軽度虚血) 無症状 冷感 しびれ
Ⅱ度(中等度虚血) 間欠性跛行
Ⅲ度(高度虚血) 安静時疼痛
Ⅳ度(重度虚血)潰瘍 壊死
   

生活状況・生活習慣
喫煙:血管収縮・動脈硬化を促進

高齢:加齢とともに動脈硬化のリスクが高い

糖尿病、高脂血症、高血圧:糖尿病の合併症には抹消動脈硬化がある

行動制限:間歇性跛行により外出を控える

不眠:疼痛により睡眠確保ができない

視診:歩き方・形
間歇性跛行では、徐々に患側を引きずるようになる
安静時疼痛では、歩行困難となる
虚血が長期におよぶと筋肉の萎縮のため、痩せて細くなる
皮下組織でも萎縮が起こり、皮膚表面は菲薄・光沢・乾燥がみられ、体毛は減少する

触診  
皮膚温…皮膚温は低下
浮腫…下肢下垂で疼痛緩和のため浮腫を助長する
抹消動脈触知…微弱となる
(第2・3・4指を用いて、拍動部位を軽く圧迫して行う)

機器を用いた測定:ABI
ABIは上肢と下肢の収縮期血圧の比
通常は上肢と下肢は等しいか、下肢の方が高くなる
左右を測定する
糖尿病患者や透析患者では、中膜硬化や石灰化し値が高くなる
0.9<ABI<1.3は正常範囲内


虚血(抹消動脈閉塞疾患)での予防・管理

動脈は内腔の75%以上が狭窄すると、下肢の症状が発生する

自覚症状があることは、病態が進行しているため、初期症状を安易に放置しないように支援する必要がある。

禁煙指導 
内服指導 
受診行動の継続
運動療法 
食事療法 
ストレス

疼痛マネージメント
痛みの背景・原因   
アセスメントして減らせることを探す

日常生活に伴う痛み   
例えば…処置時にどの手順で痛みが強くなるか?
洗浄時? 
ドレッシングを剥がす時?

疼痛への薬剤コントロール
第一段階…非ステロイド・抗炎症薬/非オピオイドロキソニンなど)
第二段階…弱オピオイドコデイン
鎮痛補助薬…非麻薬性オピオイド(ペンタジン・レペタン)や睡眠薬向精神薬の使用もある


虚血肢での創傷アセスメント
創の発生状況
いつまでも治らない「わずかな傷」
たいしたことはないと特に処置していないことが多い
痛みは虚血の程度により増す
合わない靴による靴ずれ
治らない水虫

 
創の状態
全層損傷が多い
足趾部や脛骨部など皮下組織の少ない部位が多い
サイズは小さく、創縁がはっきりしている(打ち抜き型)
肉芽色は不良(貧血色)
Red ring sign…創周囲の毛細血管が最大限に拡張
リング状に赤く観察される


創傷管理
ABI0.9以下では創傷治癒は遅れる
デブリードマンは慎重に行う
積極的なデブリードマンは、新たに露出した肉芽が壊死に陥りやすく、壊死を増大させる
血行再建後に改めて血流を評価してからデブリードマンを実施

感染制御
血流量が低下しているため、炎症反応や防御機構に必要な血液成分を準備できない
一般に湿潤環境を整えることが必要であるが、壊死や壊疽がある場合は感染制御を第一選択とする
壊疽と境界部位の皮膚の洗浄は脆弱なため愛護的に洗浄する
全層損傷、深達度が不明の場合は生理食塩水を用いる


保温・血行維持
外気が低いと血管は収縮し、より血流が低下する
外傷予防のため、裸足で過ごすことは避ける
皮膚乾燥予防のため、保湿剤を使用する
深い潰瘍がある場合、足浴は避ける(感染予防)