入院関連機能障害(HAD)について調べてみた

入院関連機能障害(HAD)って言葉を知っていますか。

私は知りませんでした。

入院関連機能障害(HAD)

入院関連機能障害(HAD)とは、入院のきっかけとなった病気とは別に、入院によって生じた機能障害のことだそうです。

入院することで、安静にしていたら、寝たきりになった・認知症がすすんだ・介護度が上がったなど、元気になるはずの入院で起こってしまう様々なトラブルのことです。

実際に病棟で働いていると、そのような患者はたびたびいらっしゃいます。

そのことに名前がちゃんとついてるんですね。

高齢者は入院関連機能障害(HAD)が起こりやすく、発症すれば退院後のQOLが著しく損なわれてしまいます。

そこで、外来や在宅医療を利用し、安易に入院しないことが予防になるそうです。

リスク因子

・高齢者(80歳以上)

・「電話をする」「買い物をする」「食事の準備をする」「家事をする」「洗濯をする」「電車やタクシーに乗る」「正しく薬が飲める」「お金を管理できる」のうち3項目以上で周りの助けが必要となる。

・立ったり歩いたりができない。

・「食べる」「移動する」「洗面や歯磨き」「トイレで用を足す」「入浴」「歩行」「階段の上り下り」「着替え」「排便コントロールができる」「排尿コントロールができる」のうち2項目以上で周りの助けが必要となる。

・がんの転移、脳卒中の既往がある。

認知症が進行している。

なぜ起こるのか

環境変化のストレス(リロケーションダメージ)と廃用性症候群

リロケーションダメージとは、住み慣れた場所からなじみのない場所に転居したりして、環境が変化することでストレスがかかり、心身に弊害を与えてしまうことです。

年齢にかかわらず起こるものですが、とくに高齢者に症状が出やすくなります。

廃用性症候群とは、安静状態が長期にわたって続くことによって起こる、さまざまな心身の機能低下を指します。


「何かあったら病院へ」ではなく「病院へ行かなくても済むようにする」ことが大事となります。
つまり予防が大事ということです。

一次予防:発症予防

むせるので食事形態を落とすとか、転ぶと危ないから歩かせないなど、安易に日常生活を制限させると長期的にはリスクが大きくなる場合があります。

栄養ケア、口腔機能ケア、リハビリを中心に取り組む必要があります。

二次予防:早期発見・早期治療

重症化する前に治療してしまうことです。

早期発見のためには、ささいな事でも気軽に相談しあえるケアチーム作りが必要です。

三次予防:早期退院

入院による機能低下を防ぐためには、一日も早く地域に戻せることが重要です。

退院をスムーズに受け入れられる在宅環境を整えておくように退院支援が必要です。

おわりに

入院関連機能障害について調べてみると、入院前からの予防が大事ということがわかりました。

病棟看護師としてかかわれる部分は、入院前のADLを落とすことなく、病棟生活を行えるように援助することと、早期退院のために退院調整を行うことだと思いました。